昔も今も変わらず変わり続ける、豊富な足袋のバリエーション

歌舞伎役者や舞踏家など、芸能関係者に長年愛され続ける「大野屋總本店」の足袋は、もちろん一般の人でも購入可能だ。「成人式や、お茶会などの習い事で着物をお召しになられる際にお求めいただいています。茶道や華道などの日本文化に触れることで、同時に着物や足袋とも出会ってもらえる機会になればいいなと思います」。

足袋といえばベーシックな白足袋を思い浮かべるが、実は昔から色柄の足袋も豊富に存在していたという。「歌舞伎のお芝居の中でも衣裳に合わせて黄色や緑、赤、藤色と、様々な色が使われているんです。この演目なら黄色、これなら緑色の柄足袋、と配役よって決まっています。役者さんの好みに合わせて濃い色にしたり、紐足袋のように見せる飾り紐をつけたりと細工を施すこともあります」。

「足袋が中国から日本に伝わってきたときには、先が丸くて指が分かれておらず、紐で留める『襪(しとうず)』という履物だったらしいのです。今でも平安時代などを舞台にしたお芝居では、旅立ちのときに紐足袋を結んで出かけるような場面があったりします」。

時代とともに形を変えてきた足袋。大野屋ではかかとの部分にゴムを入れた靴下なども作っているのだとか。「洋装の普段着でもスリッパのような感覚で気軽に使ってもらえると思います。でもやっぱりうちのメインは和服に合わせる足袋。良い足袋が欲しいと思って来てくださるお客様が多いので、そういった方々に満足していただけるような商品を作り続けていきたいですね」。変化の中でも変わらない軸を持ち、これからも伝統の足袋を守り続けるだろう。

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