古典と現代を融合させながら、毎日積み重ねてきた伝統

半纏や手ぬぐいなどの染物加工品を扱う染元「濱甼髙虎」の創業は先先代、呉服卸商として昭和23年に独立し、32年に法人化された。「それ以前は人形町界隈で紺屋(こうや)という染工場をしてたらしいという形跡はあるんですけど、「髙虎」という形でのスタートは初代の髙橋虎雄からです。名前を縮めて「髙虎」と名付けています」。

元は呉服卸商として絹の着物を主体に扱っていたが、現在は木綿製品が中心だという。「2代目の髙橋欣也が初代のやっていた呉服の形から一つ下りて、いわゆる庶民の人たちに町の祭りや商売などに使ってもらえるようなものを作ろうと、商売の形態を変えてきたんです」。

現在は2代目の娘、髙橋由布さんが3代目として跡を継いだ。「今も先代のやり方自体は変えていないけれど、作るものは少し変化しています。お祭り好きや和服好きという人だけに限らず、普段の生活の中で使っていただけるものを作ろうと考えました。だからTシャツやトートバッグなど、2代目の頃にはなかったような商品が少しずつ増えています」。

お客様からの要望があれば、古典的なものから現代的なものまで、幅広く対応ができる柔軟性を備えている。「もうみんなが着物を着ているような時代ではないから、古典と現代の両方の穴が開いてないと通気性が悪くなっちゃいますからね。『伝統』っていうとなんだか『今まで』みたいな感じがするけれど、未来の伝統って結局僕らが作っている毎日なわけじゃないですか。自分たちの生業を活かし、伝えながら現代とも呼吸をしているような思いですかね」。髙虎の伝統は、今に反映され生き続けていくのだろう。

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