艶やかに着物を彩る組紐の歴史

着物姿に彩りを添える帯締などの和装小物に使われる伝統工芸品『組紐』を扱う「龍工房」。家業として創業130余年、日本橋に店を構える。今回は当主の福田隆さんにお話を伺った。「祖父から数えて現在、5代続く形で江戸前の組紐の技術を継承しています」。

3本の束ねた糸さえあれば、『組む』という行為が成立する。紐を組むための『組台』が出来たのは江戸の後期で、それまでは何人かでグループを組み、指を立てて隣の人に糸を渡しながら組んでいたのだという。「組紐は武具甲冑に使う鎧兜や刀の柄などの実用品として使われてきたわけですが、江戸後期に深川芸者が着物に帯を結ぶ姿になり、お太鼓結びの帯を結ぶものとして『帯締』という名がつきました。ここで初めて女性ものとして組紐が使われるようになったのです。そして需要とともに生産性を上げるため、丸台、角台、綾竹台、高台、籠打台、三角台、内記台、と様々な組台が作られました」。

複雑な技術を要する組紐づくりの伝承はどのように行われているのか尋ねてみると、「例えば小唄ですと『口移し』と言って口伝えで伝承していきますが、組紐の場合は『手写し』と言います。師匠が組んでいる時に対面に座らず後ろから、その細かな手・指の動きを目で見て学び鍛錬し、そして次の代に伝えていきます」。繊細な伝統技術は手から手へと伝えられ今日に至っている。

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