箒を使った掃き掃除の心地よさを、もっと広い世界へ

『江戸箒』を中心に、清掃用品の製造販売を行う「白木屋伝兵衛商店」。代表の中村悟さんは、住居や生活スタイルの変化によって、箒の需要が変わってきたことを感じているという。「長さが少し短いものは、近年新しく作ったマンションタイプです。一人住まいで大きい箒はいらないけれど、夜は騒音が気になって掃除機をかけられないし、ちょっと気になるところだけ掃除したいなっていう方向きですね」。

「マンションの退去時って電気も止めているのに、出る直前まで掃除はしなきゃいけないじゃないですか。箒なら電気もいらないし手で運べるので便利ですよね。パーソナルに生活されている方にはとても使いやすいものだと思います」。

掃除の気持ちよさを感じられるところが箒の魅力でもあると中村さんは語る。「掃き出すと目に見えてホコリがまとまるので、気持ちがいいですよね。掃除ひとつでも、楽しい作業になり得るのならそっちの方がいいなと思います」。

中村さんは、国外での箒の可能性にも目を向けている。「家の中で靴を履いている方たちも掃除はするわけじゃないですか。箒の硬さや長さをそれぞれの地域に合わせて作ったらすごく喜ばれると思うんですよね。だから箒文化を日本だけのものとしてクローズしないで、必要とされるところに広げていくことがうちの存続意義でもあるんじゃないかと思います。「箒のフォルムが綺麗だ」ってよく言われるんだけど、それだけじゃなく、実際に使い心地が良いものだし。清掃用品としての箒の魅力をもっと広く知っていただきたいです」。世界中で白木屋の箒を目にする日も、そう遠くないだろう。

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