江戸の技術や日本橋の歴史を後世に

享保3年から、300年以上日本橋大伝馬町に店を構える刷毛とブラシの専門店「江戸屋」。刷毛やブラシの製造を担う職人や工房工房は現在50社ほど。彼らに江戸屋のこだわりを伝え、教えていくことも仕事のうちだという。「丁寧な検品や指導をしていくことも大切な仕事ですし、職方への対価や評価も必要です。良いものを作り続けるためにはみんなが良くならないと」。

また、こだわりの品質を守るためには、新たな人材の発掘も必要なのだそう。「職人も皆さん高齢化されていますしね。今は東京のブラシ組合の理事長もやっていますが、そういった繋がりで技術を持った人を見つけたりしています。プロの方々が使う道具を作っていますから、品質を保っていかないといけない。ただ毛が植えてあるだけではなくて、使ってみていい商品であることが大切です」。

この地で長く商売を続ける濵田捷利さんは、町会長や日本橋で江戸から続く『べったら市』の保存会会長なども務め、地域の人たちとも関わりが深い。「日本橋小学校で3年生の社会の授業をしています。社会と言っても、このあたりの地域のことやべったら市のお祭りのことなど、科書にないような地域のことを伝えています」。家業である江戸刷毛の伝承だけでなく、地域の歴史や文化の継承にも一役買っている。

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