機能的で美しい、伝統の「江戸箒」
江戸箒を中心に、清掃用具の製造販売を行う「白木屋伝兵衛商店」は、1830年(天保元年)の創業から190年続く老舗店だ。代表の中村悟さんにお話を伺った。「『江戸箒』というのはうちの登録商標です。指定した等級以上の良い草を使い、うちの職人が創業当時の作り方で作っているものだけを『江戸箒』と呼んでいます」。
箒の素材には『ホウキモロコシ』というイネ科の植物が使われている。「現在はインドネシアやタイ、山形の東根市などで白木屋専用として作ってもらっています。その中から、うちで定めたランク基準を満たした柔らかくて弾力のある草だけを選別して作った箒は、柔らかくしなって掻き出しもよく、掃く力もそんなにいらないし、編み上げが大きくなるから重心が中心に寄って箒自体が軽くなる。とても使い勝手の良い箒ができるんです」。
日本の家屋は段差や溝が多く、掃除機でも細かく吸い取るのは難しい。「そういう場合は箒を使うのが一番ですね。江戸箒はとてもホコリがまとまりやすいので、階段の隅や敷居の部分などにも使いやすいです。実は絨毯やカーペットの中のホコリもすごく綺麗に掻き出せるんですよ。畳や板の間だけでなく、家のどこでもオールマイティに使用できます」。
江戸時代から形を変えずに残り続けているだけあって、現代においても機能性抜群の江戸箒。「今は通販でも買えますが、できればお使いになる方に直接来店して頂いて、ご自分に合った重さや掃き心地を感じていただいて、使いやすいものをお選びいただくのがベストですね」。ぜひ店頭で体感し、自分に合う一本を見つけてみてはいかがだろうか。