日本の伝統・表具の技術を世界へと

江戸時代より表具店を営む「経新堂 稲崎」の稲崎知伸さん。長年表具師の仕事をしている中で、やりがいを感じる瞬間がある。「お客様からお直しの注文を頂いた時にはしばらく預かるじゃないですか。修繕をして、それをお返した時のお客様の感動を見たときですね。「何でこんなに綺麗になるの!?」って。やっぱりその姿を見ると、それがまた次に活力に繋がります」。

現在は日本橋高島屋の表具教室で講師を務めているという。「例えば自分で絵を描く人や書を書く人は、今度は自分で表具もしたいと思うわけです。ですからそういった場所で掛け軸や屏風づくりを教えています。一つのテーマを決めて、1年かけて作品づくりをするんです」。敷居が高いと思われがちな伝統工芸でありながら、興味を持った人がしっかりと体験できるような取り組みを行っている。

稲崎さんは、表具の近い未来をこう予想する。「この表具の技術というのは日本で代々伝わってきているものですが、日本の美術品って国外にも出て行ってるわけですよ。そういったものもだいぶ傷んできて修復をしなきゃいけない時期に来ていますから、表具を持っている外国の施設などにも技術を紹介していったりということが、これから必要なんじゃないかなと思っています。外国の方でそれを修理できる人っていうのは多分いらっしゃらないはずなので、向こうも多分探してくると思うんです」。表具の技術を世界へ、「経新堂 稲崎」の新しい挑戦が始まりそうだ。

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