刃物とともに磨き続ける職人の腕

創業以来、店頭では自ら加工した刃物類を販売、奥の工房では商品の加工調整、修理の作業を行う『職商人』の業態を続ける「うぶけや」では、他店で購入した製品のメンテナンスも可能だという。

「ご自分のお店で販売したものしか修理しないというところが多いですが、うちは他のお店の商品もお受けしています」。店の工房で8代の矢崎豊さんと息子の大貴さんが修理を行い、お客様の手元に届けている。「刃の付け方や厚みの抜き方など、もう少し薄い方がいいとか、厚い方がいいとか、細かいところをお客様のご要望に合わせて調整しています」。

代々、職人としての修行を始めるのは学校を卒業してからと決めている。「学生の頃からちょこちょこ手伝うっていうんではなく、学校を出てからきちっと毎日修行をします。息子ももう10年くらいにはなるのかな。私の場合はありがたいことに修行先があったのですが、今は全般的な研磨をできるところがなくなってしまったので、息子はかわいそうに朝から晩までうるさい親父とやっています(笑)」。研磨の荒仕事を豊さん、仕上げを大貴さんが担当し、二人がかりで丁寧に磨き上げている。

刃物の基本的な形は決まっているが、そこに行き着くまでの過程は個人の裁量に委ねられるという。「最終的には商品として目指すラインや厚みに到達しなければいけませんが、その過程っていうのはある程度個人差があって構わないと思っています。私も修行先で教わったことを自分なりにアレンジしてやっています」。より良い製品を目指し、自己流を追求することで、職人としての腕も磨かれていく。

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