伝統の組紐を未来にも。新たな挑戦と進化を続ける江戸の粋

「龍工房」は現当主・福田隆さんの息子である隆太さんも同じく組紐づくりの道に進んだ。隆太さんは若い感性を生かし、伝統の組紐から一歩先へ進んだ取り組みに力を入れている。「組紐は和装の帯締として女性の方がお使いになるのがほとんどですが、この仕事を始めてから自分が持てるものが欲しいと思うようになりました。それで、組紐を使った傘や椅子、応援グッズの拍子木だったりと、特に現在触れる機会の少ない男性の方でも普段使いできる商品をお作りしています」。

「組紐も時代に寄り添ってお茶の道具から武士の刀など、様々な進化をしてきました。とにかく行動をして具現化し、ものを作ってこその世界だと思うので、技術を活かして新たなものにチャレンジしていくことが必要だと考えています」。家業として長きにわたり培ってきた技術を現代の生活にも取り入れている。

その挑戦は素材にも及び、絹糸のみでなく新たな素材を使っての組紐づくりにも挑戦してきた。「これは光を溜めて夜間に光を発する蓄光糸という糸を用いたブレスレット。夜の暗闇にいてもわかる防災としての機能を持っています」。

またこれまでにも、キヤノンマーケティングジャパンのカメラコードを始め、多数の企業らと共同で商品開発も行ってきた。新商品を作る際に心がけていることがある。「工芸品というのは『用』と『美』という2大テーマがありまして、機能性と、その工芸品が持つ美しさですね。昔からの技術を現代のライフスタイルに組み合わせ、用と美を兼ね備えた提案を意識しています」。龍工房の新たな取り組みに、これからも目が離せない。

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