黒文字の香りを大切に伝えていきたい

300年以上も続く老舗爪楊枝専門店の「日本橋さるや」。9代目の山本亮太さんがお店を継いだきっかけは意外にも、「昔からやろうと思っていたわけではなく、父の代で潰れそうだったので入ることにしたんです。中央区の地域の集まりがあって、そこで各事業者の若手と付き合いがあったので、店に入る前からもしかしたら継ぐかもしれないという予感はありました」。

2013年には店舗を移転して心機一転、新しくスタートを切った。「移転後に新しく作ったのは極細の楊枝ですね。細いものが欲しいという要望がすごく多くて。でも簡単に折れてしまってはいけないので、職人と相談しながら研究しています」。

長く店を続ける中で、職人やお客様とのコミュニケーションを大切にしながら伝統の黒文字楊枝を作り続けている。「『黒文字じゃないとダメだよね』というお客様がいらしてくださる時はやりがいを感じますね。だんだんと黒文字を知っている人が少なくなってきているので、黒文字の良さをもっと知っていただきたいと思っています」。

黒文字の魅力を知ってもらう取り組みとして、楊枝以外の商品の開発も行っている。「黒文字の特徴の一つに香りの強さというのがあるので、香りを生かした商品を少しずつ増やしています。日本酒を作っていたこともありましたが、今は泡盛を作っています」。
多くの人を魅了する黒文字の香り、日本橋に訪れた際にはぜひ体感してほしい。

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