色、柄、形に江戸らしさを映し出す
「濱甼髙虎」には、江戸の洒落を判事絵にした合財袋など、江戸・東京らしさにこだわった商品が多数揃う。「やっぱり『東京』と言いながらもローカルっていうのが確実にあるので、その江戸らしさを感じてもらえるような色・柄・形を作りたい。それをこの街にいながらやっているというのが重要な部分ですかね」。
「濱甼髙虎」が大切にしている江戸らしさのポイントについて尋ねると「例えば色に関しては、沖縄から北海道を列島として捉えた時に、南に行けば行くほど彩度が上がっていくんですよ。北へ行くにつれてどんどん濁っていく。京都の雅の世界の赤と江戸っ子が好む赤とか、色使いの中で好まれるものもやっぱり違いがあって、江戸の場合はすりガラスを一枚通したような少し濁りのある色ですね。ビビットな色を全く使わないわけではないけれど、濁すことで味や深みのようなものが出ます」。確かに店頭に並ぶ手ぬぐいや袋物はどれも渋みのある落ち着いた色合いが多い。
「形で言うと、江戸城下にある町の人たちは、基本的に余すことを嫌うのでピタッとしたものを好みます。足袋などはわかりやすいですけど、余分があってシワが寄ると様子が良くないので、きちんとその人のサイズに誂える。半纏もピシッと着るためにはちゃんと採寸して、丈も袖も身幅も格好の良いスタイルにしないと。あればいいや、じゃなくて、その人に合うものが理想です」。自分のためのオンリーワンを身につけることこそ、江戸文化の象徴なのかもしれない。